滝行に行ってきたけど質問は受け付けない【4】
すぐ泣くにはお坊さんの親戚がいる。
祖父の法事のときにはいつもその親戚住職がお経をあげて、お釈迦様にまつわるありがたい話をわかりやすく話してくれ、祖父が亡くなって悲しかったけれど、話を聞いてると不思議と心が軽くなった。
死をマイナスにだけにとらえることではないんだって気付かせてくれた。
そこの息子達は寺すぐ隣にある墓地でバリバリにサッカーとかしてて結構罰当たりなこともしてたけど。
私たち滝行1日体験御一行4名は、滝行に挑む前の「座学」のために寺内にあるプレハブ小屋に移動をした。
これからありがたい話が始まるんだ。
座学に使用する資料は丁寧にファイリングされており、一人につき一冊渡された。
「では、今渡したファイルに名前を書いてください」
(なぜ名前を書くんだ・・・?
新学期入りたての学生か・・・?)
「では座学を始めます」
住職無双の始まりであった。
座学の内容はこうだ。
人間に生まれたからには人間らしく生きなければならない。
人間らしさとは何か。
人間らしさ、これ即ち「めいっぱい働くこと」である。
めいっぱい働くとはどういうことか?
いかに他の人間よりも日々努力をし、結果を残すことである。
日常に慣れてしまってはならない。
毎日必ず、何か改善するところはないかと模索することがとても大事なんだ。
改善するところがあれば即座に実行し、よりよいものに変えていくことが大事なんだ。
そんなことができる人は100%のうち3%だけ。
100人いたら3人だけってことだ。
とまあ、こんな内容だった。
仏教関係なくね?
変えていくことが大事と説くんだったら、あのDVDとか変えればいいのに
住職は「めいっぱい働くとは」の話になった途端、参加者に話を振ってきた。
「あなたは普段どれくらいの力で仕事をしていますか」
参加者の男性は答えた。
「60%くらいですかね」
ここで住職の表情がイキイキした。
この答えを待っていた!とばかりに持論を語り始めた。
内容は薄っぺらすぎて覚えていない
「あなたはどうですか」
続けて住職は腐ったみかんさんにも同じことを聞いた。
※「腐ったみかんさん」についてはこちらをご参照に
「はい、毎日100%で仕事をしています。」
私と旦那は俯いて笑いをこらえた。
(住職、どう答えるんだろう)
「へえ、それは素晴らしい。100人のうちの3人ですね。」
〜会話終了〜
思ってた返答ではなかったのか、住職は腐ったみかんさんと話さなくなった。
そして無双は続いた。
「最近は、女性の滝行参加者が多くてねえ。婚活中の女性が多いんですよ。最近の男性は頼りないとみなさんおっしゃいます。」
「男性は仕事をめいっぱいして家族を支え、頼り甲斐があり、活力、精力ともに満ち溢れていなければならない。」
「そう。男性は肉食系でなければならないんです」
「あなたも男性は肉食系がいいでしょう?」
住職は私に同意を求めてきた。
私が同意せずに黙っていると
「女性としては、肉食系の方が、ねえ?」
女の全てをを知った気でいるような住職の発言は続いた。
ちなみに気づいているのか気づいていないのかは分からないが、
住職は机の下に置いてある私のカバンを何度も踏んだり蹴ったりしていた。
心の中はこんな状態↓
でもそこまでタンカ切れないチキンなので
「私は肉食系とかじゃなくて普通がいいです」
と答えた。
住職「え?肉食系じゃなくていいの?色んなことに満ち溢れたガツガツした男性がいいでしょ?」
すぐ泣く「はい、普通。ふっつ〜の人がいいです。何系とかじゃなくて。」
住職「(しばし間を空けて)まあ、人それぞれですからね」
えええええええええええ
心のシャッターが締め切られた瞬間だった。